2024.11.19
2024.11.19
近年、IT技術やAI(人工知能)など、業務の効率化により生産性の向上が進んでいます。しかしながら、企業の業務のすべてをそれらに任せるのは、難しいことでしょう。生産性を向上させるには効率化だけではなく、社員同士のコミュニケーションにも重要な役割があるからです。
そこで、社員のコミュニケーションスキルを向上させるために、コミュニケーション研修を検討している企業もあるのではないでしょうか。もしくは、コミュニケーション研修を実施したものの、成果が思わしくない場合もあるでしょう。
この記事では、コミュニケーション研修の内容や目的、成功させるためのポイント、研修の実施方法などを網羅的に解説します。コミュニケーション研修の実施に役立ててください。
コミュニケーション研修とは、コミュニケーションの基礎を理解して、意思伝達のコツやヒントを習得する研修です。
コミュニケーション研修のカリキュラム(プログラム)は、立場や業種により異なります。たとえば、新入社員、中堅社員、管理職によって必要な能力が異なり、エンジニア向け、大学職員向け、接客業向けなど、業種によっても研修内容が異なるものです。
研修内容は業務により細分化されるため、自社に適した研修内容にしてください。
コミュニケーション研修が重要な理由は、離職率の低下や質問力の向上が挙げられます。前述の通り、IT技術の進化やAIの登場により、私たちの仕事はこれからもどんどん効率化されていくでしょう。
しかし、多くの企業は人材不足が課題となっており、職場環境などが原因で離職する人も多いです。その結果、企業の生産性が低下してしまい、社員の雇用維持と生産性の向上が優先的な課題となっています。
職場環境の中でも、特に離職につながる原因のひとつが、人間関係の悪化です。人間関係が崩れる原因にはコミュニケーション不足があり、その改善に取り組めば離職率も低下すると考えられます。なぜなら、意思疎通ができないと人間関係が悪化することが多いためで、コミュニケーション研修はその改善に適しているからです。
意思疎通を図るときに欠かせないものがあります。それは、質問力です。質問力とは対話中に疑問が出てきたときに質問する能力のことで、誰もが持っているものの、上手に使えている人は少ないと言われます。
疑問点があってもうまく質問できないと、相手との認識にずれが生じ、人間関係を崩すことがあるでしょう。
そのような質問力をつけるには、コミュニケーション研修が効果的です。
質問力以外にも、コミュニケーションについて抱えがちな課題があります。それは、以下のような課題です。
自分の考えを伝えることができない理由は、「自分に自信がない」「考えをまとめられない」「伝わらないだろうと諦める」などがあります。とはいえ、仕事で自分の考えが伝えられなければ上司や部下と情報共有ができず、業務に支障がでるでしょう。
質問力にも影響しますが、特に初対面の人との会話が苦手な社員もいます。商談や業務に関係ない雑談も意外に大切であり、雑談からアイデアや考えが生まれることもあるでしょう。雑談のネタとして、季節のことや時事、趣味嗜好などが出てこない社員は、会話が淡白になりがちです。
相手を指摘することは誰しもストレスがかかるものです。特に先輩社員や取引先の人であれば、さらにストレスが生まれるでしょう。また、指摘するときは相手のことを思いやることも大事であり、高度なコミュニケーション能力が必要です。
初対面の人との会話、重要な商談やプレゼンなどは緊張するものです。その理由は「失敗」を考えるからでしょう。うまく緊張を緩和できない社員は多いのではないでしょうか。
社員の中には緊張しやすい社員もいれば、話したがりの社員もいるのではないでしょうか。一見すると、話したがりの社員は悪くないように感じます。しかしながら、「話が長い」「結論がわからない」「思いつきの話で論点が飛ぶ」など、相手に不快感を与えてしまうこともあるのではないでしょうか。人見知りせずにコミュニケーションが図れればいい、というものではありません。
いわゆる「空気が読めない」ということも、相手へ不快感を与えます。しかし、空気が読めないことは、自分では気づくことが難しいです。
以上のように、コミュニケーションに関する課題はさまざまであり、研修を通じて改善する必要があります。
コミュニケーション研修の目的は、職場に必要なコミュニケーション能力を身につけることです。職場に必要なコミュニケーション能力には以下のようなものがあります。
コミュニケーション研修では以上のことを身につけるわけですが、社員の年齢層や役職によりアプローチの方法が異なります。
社会人の人間関係は学生時代と異なり、関係をもつ人を選べません。多少、意見が異なったり理解がしにくかったりする人であっても、付き合っていかなくてはなりません。そのため、相手を受け入れて理解する能力を身につけることが大事です。
中堅社員となると、相手を察する能力や理解する能力がそれなりに身についてきているでしょう。それに加えて後輩を指導していく指導力が求められます。また、さまざまな意見を取り込んでまとめる折衝力も必要です。よって、相手の意見の真意まで切り込んでいくような傾聴力も求められるでしょう。
管理職は、社員がパフォーマンスを最大限発揮できるような環境づくりをする必要があります。そのためには、チームが同じ目標に向かって取り組めるような信頼関係の構築が大事です。ストレスを抱えている社員の気持ちを理解して、問題解決のためのカウンセリング能力も必要でしょう。傾聴力や瞬間の判断能力などさまざまなコミュニケーション能力が求められます。
以上を理解して目的別にコミュニケーション研修を実施すると、より効果が得られやすいでしょう。
コミュニケーション研修によりもたらされる効果はさまざまです。
業務においては報連相(報告、連絡、相談)の質の向上が必須です。仮に、社員同士のコミュニケーションが円滑に進まないと、業務効率が低下してしまいます。そこで、コミュニケーション研修を実施して社員のコミュニケーションスキルが向上すると、効率的な報連相の実現が可能です。また、コミュニケーションのミスが減ることで業務の質が向上して、会社の業績にも好影響を及ぼすでしょう。
前述の通りコミュニケーション研修を実施することは、生産性の向上につながります。その理由は、社員同士が活発な意見交換をすることで人間関係が保たれるからです。社員1人が行える業務の範囲には限界があり、多くの社員と連携することで仕事の完成度が向上します。社員同士の関係性を保つためには、コミュニケーション能力が必要です。
コミュニケーション能力を身につけると、社員同士だけではなく顧客との関係性も向上します。顧客とのコミュニケーションの機会には、商談、メールのやり取りなど日常業務から大事な場面までさまざまです。そして、その場面に応じたコミュニケーション能力が求められます。コミュニケーション研修で学んだことを実践しながらスキルを高めることで、顧客満足度も向上するでしょう。
社員の退職理由の上位に入るのは、人間関係です。人間関係の悪化は、コミュニケーション不足による社員同士のつながりが薄いときに起こります。悩みを抱える社員は誰にも相談できないことがあり、抱え込むと離職につながる可能性が高いです。コミュニケーションが活発になるように研修でスキルを身につけて、業務中や業務外で円滑な会話ができるようになると、離職率の改善が図れます。
人材育成を課題にしている企業は少なくありません。社員育成は指導する側、指導される側の信頼関係が重要です。上司と部下の人間関係が良好であれば、上司の指導内容が伝わりやすくなり、部下の成長も早まります。また、部下に業務を教えるだけでは良好な人間関係が構築できないため、コミュニケーションを密に行うことで、より部下が育つでしょう。
コミュニケーションが活発になると、情報共有も頻繁に行えるようになります。意見や情報の交換が不足すると、業務の効率化や人間関係の構築以外にもさまざまな弊害が生じるでしょう。さらに状況が悪化すると不正が起こることもあり、会社の大きなダメージとなります。そのため、コミュニケーションの活性化が必要であり、報連相を適宜行うことが大事です。
このように、コミュニケーション研修により、コミュニケーションスキルを身につけると、多くの良い効果をもたらします。
コミュニケーション研修を成功させるためには、さまざまなポイントがあります。
コミュニケーション研修を実施するにあたり、「何を解決したいのか」という課題設定をします。具体的には、「商談を成功させるためのプレゼン能力を身につけたい」「社員一人ひとりの営業力を向上させたい」「接客スキルをアップしたい」など、業種や職種により異なります。
また、課題設定では、経営陣や各部署の管理職などから、人材育成のニーズをヒアリングすることも大事です。
研修で最も大事になることが目標設定です。コミュニケーション研修は、自社の課題や現状から目標に向かっていけるような内容にしてください。そのため、研修を通じて「何を身につけてほしいか」を明確にすることがポイントです。例えば、管理職向けの研修であっても、カウンセリング能力やコーチング力などさまざまなコミュニケーション能力があります。だからこそ、「何を身につけてほしいか」という目標設定が、とても大事なのです。
前述の通り、求められるコミュニケーション能力は年齢層や役職により異なります。そのため、誰を対象とするかによって研修内容が大幅に変わります。目標を設定したうえで、対象社員を決めるようにしましょう。
コミュニケーション研修のスタイルには、講義型と演習型があります。
講義型は講師の話を聞くスタイルであり、学校の授業のようなイメージです。講義の時間は90~120分が一般的で時間の確保がしやすく、予算を抑えることができます。ただし、実践スキルは身につきにくいため、注意が必要です。
一方の演習型は実践的なスキルを身につける研修スタイルで、ワーク型と呼ばれることもあります。体験型の研修となるため実践力はつきますが、時間(期間)や予算の確保が必要です。どちらも素晴らしい研修であることは変りませんが、目標設定のためにはどちらが適しているのかを、見極めなくてはなりません。
研修スタイルの検討をするときは、研修期間や時期から考えるといいでしょう。たとえば、新人研修や新任管理者研修などは毎年、実施する時期が決まっているのではないでしょうか。それらの研修は優先すべきものであるため、ほかの時期でコミュニケーション研修を実施することになります。自社の繁忙期などを避けてスケジュールの調整を行いましょう。
また、研修費用の検討も大事です。講座は1日程度の自社研修であれば数万円程度で済みますが、外部の講師に依頼すると1日20~30万円かかることもあります。
研修の全体像が決定したら、研修対象者に告知しましょう。その際、研修の目的は何であるか、伝えるようにしてください。なぜ研修が必要であるかを明確にすることで、対象者の目的意識やモチベーションの向上につながります。
コミュニケーション研修を実施する方法は、自社で行う方法と外部のプロに依頼する方法の2つです。
自社で研修を行う際は、自社内に研修のノウハウが蓄積できることや、費用をかけずに実施できるなどのメリットがあります。しかしながら、研修を担当する部署や社員の負担が増えることがあり、通常業務の割り振りが難しいでしょう。また、研修の目標に対する成果が、明確に判断できないことが多々あります。
このようなデメリットが気になる場合は、研修を外部に依頼してみましょう。外部のプロに研修を依頼すると、研修のカリキュラムが自社のニーズにあわせた最適な内容になります。そのため、受講した社員のスキルや知識の習得も早まるでしょう。
研修のための費用を検討する必要はありますが、自社で実施した場合と比較してさまざまなメリットがあります。
コミュニケーション研修は、社員それぞれに求められるコミュニケーション能力を身につけられる研修です。また、コミュニケーション研修の実施は多くの効果をもたらします。研修を自社で行うことも可能ですが、外部に依頼するとより多くのメリットがあるため、目的に合わせて考慮するといいでしょう。
この記事を参考に、コミュニケーション研修を実施してみてください。
この記事を書いたコンサルタント
株式会社FCE
(編集部)
株式会社FCE 人材育成コラム編集部です。 人材開発/研修を検討中の方、組織力の向上を目指し情報収集をしている方向けに有益なコンテンツを発信していけるようサイト運営をしております。
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