2024.11.19
2024.11.19
リーダーは、チームメンバーをまとめてプロジェクトを達成に導くために欠かせない存在です。現在はグローバル化や働き方の多様化によって、さまざまな形でプロジェクトに携わる人がいます。年齢・性格・スキルや経験などが異なるメンバーを束ね、プロジェクトを円滑に進行するためには、リーダーとしての専門知識はもちろん、相応の知識やスキル、経験が必要になってきます。
そんなリーダーシップを発揮できる人材は、どの企業も喉から手が出るほど欲しています。このため、市場価値も高くリーダーとしての力量を持った人材を新たに雇用することは困難を極めます。そこで、中小企業はリーダーとなり得る人材に投資を行い育成していく必要があるのです。
今回の記事は、そんなリーダーを育成するためのリーダーシップ研修について、その内容や研修を成功させるためのポイントについてご紹介します。
リーダーシップ研修とは、リーダーを育成するためのさまざまなスキルや知識を身につけるための研修のことです。「リーダーに必要な能力」は人によって解釈が異なりますが、抽象的に表現するなら「プロジェクトを成功に導くためにビジョンを示し、チームメンバーのモチベーションを維持しながらプロジェクトを成功に導く能力」といったところでしょうか。
このような能力を開拓し、リーダーとしての知識や技量を身につけるための研修がリーダーシップ研修です。
そもそもリーダーシップとはどのようなものでしょうか? 日本語では「指導力」や「統率力」と呼ばれるものがこれに該当します。しかし、指導力や統率力という言葉もまた、曖昧な能力です。
そこでまずは、「リーダーシップ」の定義について、具体的にみていきましょう。以下に、リーダーに必要な要素についてまとめてみました。
・判断力
多様な問題に対して本質を見極め、合理的に判断する能力
・課題発見力
チーム内の課題を見つけ出し、抽出する能力
・計画力
目標達成のための道筋を見出し、目標達成を確実にする計画を策定する能力
・リスク対応力
リスクを発見し、リスクに対して適切な対応を行う能力
・調整力
組織内外の人々と交渉し、調整する能力
・自覚力
リーダーとしての自覚を持ち、率先して問題に立ち向かうマインド
・運営力
メンバーの能力を活かして結集させる能力
・管理力
環境の変化を感知し、軌道修正を行う能力
リーダーシップとは、この8つの要素の総合力です。もちろん人によってはどれかの能力に秀でていて、どれかの能力で劣っていることもあるかもしれません。しかし、いずれもリーダーとして欠かせない「リーダーシップの要素」なのです。
リーダーシップ研修の対象者は、基本的には管理職や中堅社員となります。
日本の企業体質は、欧米にならった成果主義制度が多くなってきているとはいえ、まだまだ年功序列という企業も多いです。このため、これからリーダーとして活躍してもらうべき中堅社員や、すでにリーダーとして実務についている管理職が研修の対象者となります。
ただし、IT業界やベンチャー企業などでは、中堅社員でなくてもプロジェクトのリーダーとして稼働してもらう機会も多く、プロジェクトマネージャーの能力を身につけるためにリーダーシップ研修を実施することもあります。
またセルフリーダーシップという言葉もありますが、自分自身へのリーダーシップを発揮する必要性も出てきており、内容によっては対象者は全社員というケースもあります。
リーダーシップ研修はどのような目的で行われるものなのでしょうか。
上述のリーダーの要素を身につけることはもちろんですが、それ以外にもさまざまな目的で研修は行われています。
リーダーシップ研修は、リーダーとしての自覚を芽生えさせ、考え方を切り替える良い機会となります。
リーダーとチームメンバーの大きな違いは、会社の中にある一つの組織のリーダーとして組織をどのように動かしていくのか、環境の変化にどのように対応するのかを考える必要がある点です。チームメンバーとして働く場合は、基本的にリーダーに従って業務を進めていればいいのですが、リーダーは受け身の状態ではいけません。リーダーとしての自覚を持ち、より大きな視野でモノゴトを捉え、適切な判断のもとメンバーを動かす必要があるのです。
リーダーに必要な能力は、一朝一夕で身につくものではありません。そもそも、リーダーに必要な能力は多岐にわたります。
チームとしての目標設計力や計画力、実行力。部下を育て、能力を引き出す教育面のスキル。チームメンバーを統率するために、メンバーの能力や性格をよく理解する観察力や、コミュニケーション能力。
これらのさまざまなスキルを養うためにもリーダーシップ研修は有効です。
リーダーシップ研修ではどのような内容が行われるのでしょうか。ここでは、代表的なリーダーシップ研修の内容についてご紹介していきましょう。
リーダーとして、若手から、経営層からどのような人材が求められるのかということを知るための研修です。リーダーの基本的な役割や必要な資質について改めて認識させることで、リーダーとしての自覚を強くする目的で実施されます。
リーダーとしての資質やスキルを高めるための研修です。問題解決の手法や計画の策定方法、目標達成やプロジェクト成功のノウハウなど、リーダーとして必要なさまざまな能力を養うプログラムです。
リーダーはチームメンバーのモチベーションを引き出し、メンバーを育成することが求められます。メンバーとどのようにコミュニケーションを取り、どのように交渉してモチベーションを引き出すのかということを知るためのプログラムです。
リーダーは環境の変化を素早く察知し、発生するリスクに対応していかなければなりません。リスクアセスメントを行なったうえで、リスクを受容するのか、リスクを回避するのか、対処するのかを迅速に判断しなければならないのです。
近年はIT化によって業務は複雑化しており、さまざまな物事がスピーディに変化しています。現代社会特有のメンタルヘルス疾患を患う人も少なくはなく、こういったメンバーの精神的なケアもリーダーの役割の一つになりつつあります。
チームメンバーのメンタルヘルス上の問題を素早く察知し、必要な場合はケアを行う力を養うためのプログラムも最近のリーダーシップ研修には多く見られます。
リーダーシップ研修を効果的に行うために、企業はどのようなフォローをすればよいのでしょうか。いくつかポイントを見ていきましょう。
研修を行ううえで最も重要なことが「研修を行う目的を明確にすること」です。
この目標は「リーダーを育成する」といった抽象的なものではなく、組織やチームメンバーが求めるリーダー像を理解したうえで、「どのような人物像にするために研修を行うのか」という具体的かつ測定可能な目標を掲げるようにしましょう。
この目標が定まらなければ、「何の研修をすればよいのか分からない」という状態になってしまい、研修の有効性を保てなくなってしまいます。逆に「こういうリーダー」というゴールさえできてしまえば、そこから逆算してどのような研修が必要なのかが明らかになってきます。
また、その計画が目標まで何をしてもたどり着けない場合は、「求める人物像」の水準を変更させる必要があることも、検討するせざるを得ません。
目標は期限つきで測定可能なものであることが望ましいです。期限がない目標は優先度が下がってしまいますし、計測可能でなければ後から研修の効果測定を行えなくなってしまうためです。
これらをまとめると、
・具体的
・測定可能
・期限がある
これらのポイントを押さえた目標を設定することが望ましいといえます。
明確なリーダーシップ研修の目標を策定できたら、次に行うことは目標の達成を確実にする計画の策定です。このステップでは、「何をどのように研修するか」ということを決定します。
何を学ばせるかは目標によってさまざまですが、どのように研修を行うのかについてはある程度選択肢を絞ることが可能です。一口に研修と言っても、座学形式のもの、グループワーク形式のもの、eラーニングや読書によって学ばせるという方法も考えられます。
また、セミナーに参加させる場合でも社内セミナーなのか外部セミナーなのか、社内セミナーでも内部講師を登壇させるのか、外部講師を登壇させるのかという選択肢があります。
研修の形態はさまざまですが、それぞれメリット・デメリットがあります。例えば社外セミナーや社外講師に登壇を依頼する場合は、これまで企業が持っていなかったスキルやノウハウを得ることができますが、相手が社内の事情をよく知っているわけではありません。
このため、体系的かつ抽象的な部分での学びには有効ですが、より実務現場に近い学びを得るためには受講者の応用力が必要になってきます。一方、社内研修や社内講師が登壇する形式のものは、社内で確立されている手法であるため保守的な内容になってしまいがちです。
リーダーシップ研修に限った話ではありませんが、こういったメリット・デメリットについて検討したうえで、どのような形式で研修を実施する場合でも、明確にした目標の達成を確実にするために綿密な計画を行うようにしましょう。
長期的に効果的な研修を実施するためには、研修後の測定が不可欠です。研修の効果を測定し、そのリーダーシップ研修は企業にとってどのようなメリットをもたらしたのかを記録し、研修の品質を高めていくことが必要になります。
目標を策定する際に、計測可能な目標を立てる必要があるのは、この効果測定を行うためです。
研修後の効果測定では、目標をどの程度の割合で達成できたかということを数値によって判定し、目標を達成できた要因、できなかった要因の分析を行います。そして、そのレビュー内容を活用して次回の研修時までに研修計画の改善を行うのです。
多くの研修は、一度きりの実施ではなく、組織の成長や雇用のタイミングで繰り返し行うものです。そのため、有効性を維持するためにもPDCAサイクルによる継続的改善を行うことが望ましいでしょう。
今回は、研修の中でも次世代のリーダーを育成するためのリーダーシップ研修についてご紹介してきました。リーダーシップとは何か、そしてリーダーにはどのようなスキルや資質が必要なのか、ヒントになりましたでしょうか。
リーダーとして兼ね備えておくべきスキルや知識は数多くあります。このためさまざまな研修内容や研修手法がありますが、それぞれの研修手法のメリット・デメリットを理解したうえでしっかりと目標を立て、計画を策定し、効果測定を行うように心がけておきましょう。
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