2024.11.19
2024.11.19
株式会社FCE Holdings の人事を務める勝家(かついえ)さんに、「内定者教育」についてお聞きしました!
インタビュアーは実際に内定者教育を受けた新卒2年目瀬山(せやま)が担当。
内定者教育の内容・効果・スケジュールだけでなく、具体的な施策など4つのポイントを伺いました!
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■目的は「即戦力化」と「辞退防止」、目標は「人財育成の3つの観点」から考える
瀬山:今日はよろしくお願いします!早速ですが、内定者教育はどんな目的・目標で実施しているか教えていただますでしょうか。
勝家さん:主な内定者教育の目的は「入社後の即戦力化」と「内定者の辞退防止」です。これまでは、入社後の成長・活躍を重視していましたが、内定承諾後に就職活動を継続する人が増えており、辞退を防ぐことも重要だとを感じています。目標設定は難しいところですが、「人事」として内定者教育をどうしたいか、「内定者」の皆さんにどうなってほしいかの2軸で考えています。
瀬山:目標設定は具体的にどのように考えているのでしょうか?
勝家さん:「内定者」に望む具体的な目標としては、人財育成のピラミッドの3つの観点で考えています。
FCEで入社後活躍してもらうためには
① マインドや価値観がどのような状態になっていたらよいか
② 仕事の仕方がどのような状態になっていたらよいか
③ 知識・スキルが必要だとしたら、それらはどのような状態になっていたらよいか
この3つのポイントで毎年考えて、その後それぞれに必要な機会や方法は何かを考えます。
具体的には
① マインド・価値観・考え方は、FCEの大切にしている8つValueの理解、同期の理解、会社のValueのもとになる『7つの習慣』の理解
② 仕事の仕方は、DIPSと呼ばれる生産性向上のノウハウの理解
③ 知識・スキルは、ビジネスマナーやPCスキル、FCEの企業知識
があげられますね。
瀬山:この3つの観点は内定者にも共有いただいていましたね…! そもそも、FCEグループではいつから新卒採用を初め、どのタイミングで内定者教育にも着手したのですか?
勝家さん:新卒採用を始めたのは2018年卒の採用を2017年夏からですね。1年目は急いで新卒採用を始めて、翌年より計画的に取り組むようになりました。今は7期目となる2024卒の採用も終わりましたので、8期目に入る段階ですね。内定者教育は2018年の新卒から、一貫して実施しています。
■最短で半年・長ければ1年、内定者と「接点」を持ち続けることを大切に
瀬山:新卒採用と内定者教育は同時に始めたのですね、知りませんでした。一緒に、内定者教育も始めることができたのは何かきっかけがあったのでしょうか?
勝家さん:内定者期間は中途採用とは異なり、最短で半年、長ければ1年にも及びます。この期間に何もしないのはもったいない、会社としても入社の決まっている内定者に何もしないというのはもったいないと思うのです。1年間での教育と言わずとも、内定者と接点を持ち続けないと本当に入社していただけるか分かりません。まずは内定者とのコミュニケーションを取り続けることを大切にしています。
とはいえ、内定者教育にスムーズに着手できたのは、FCEが人材育成のコンテンツを持っていたことが大きかったなと今は思います。
瀬山:そうだったのですね。私も内定いただいてから入社まで1年ほど時間があり、この1年何をするか当時考えていたのを覚えています。もちろん学生としてやりたいこともありましたが、同時にこの期間で社会人の先取りをしたいとも思っていました・・!
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■「義務」と「任意」の2つのプログラムを実施
瀬山:私も様々なことを内定者教育として受けさせていただきましたが、実際どのような教育プログラムで進めているのでしょうか?
勝家さん:人事目線で内定者教育プログラムは、大まかに①「義務」②「任意」の2つに分けることができます。
①「義務」の部分では、主にインプットの課題や今年は営業合宿が該当します。
・FCEのValue(大切にしている考え方・価値観)
・『7つの習慣』
・仕事の進め方
・PDCAサイクルの回し方
・MOS(Microsoft Office Specialist)試験を受験
などを含みます。営業職として入社してもらう予定ですので、営業合宿も内定者期間に行っています。
②「任意」の活動では、
まずはインプットの課題(=義務)を1つ走らせ、更にFCEについて知りたい・仕事としてインプットしたものをアウトプットしたい・内定者期間中に何か達成したいという人にお給料も支払うのでインターンやりましょうと活動してもらっています。
・インサイドセールス
・新規事業の立ち上げ
・サイト記事執筆
など、様々なポジションで活躍してもらっています。
瀬山:毎年どのようなスケジュール感で、内定者への声掛けも含めて進めているのですか?
勝家さん:多少新卒採用活動の終わる時期が変動するので、一概には言えませんが、今年は6月末に初めての顔合わせとして、オンライン食事会を開催しました。
その後、課題に関しては「いつまでに何をやるか」「どんな状態になったら達成か」という大枠と、あとは各自スケジューリングして進めてくださいねと伝えました。とはいえ1回で全てを伝えることは難しいので、まずは内定者同士が相互でやり取りができる環境をつくり、後は営業合宿でより親睦を深めてもらう予定です。合宿では実際に模擬営業を行い、架空の商材を扱います。3〜4人のチームでアポイントメント獲得から役職者との商談、目標の1件受注までを体験してもらいます。
合宿後は、インプットの課題をそれぞれ進めてもらったり、内定式の準備をします。インプットの課題は内定者本人にテストの日程を決めてもらい、11月にテストを実施予定です。また11月には内定式もあり、FCEでは毎年「内定者からのプレゼンテーション」がありますので、その準備もします。11月以降はこれから詰めていきますが、25卒の採用活動にも関わってもらいたいなと考えています。
■「一人ひとり」に合わせた内定者期間を過ごしてもらうことが重要
瀬山:内定者教育について人事のお客様から 「まだ社員でもない内定者に、義務の課題を課すのは良くないのでは・・?」というお悩みいただくことが多くあります。勝家さんはこの点、どうお考えでしょうか?
勝家さん: 私の中で内定者教育の”義務”の必要性で印象に残っているのが、「会社から何かを与えてもらう」という感覚もかなり大切であるということです。「やらされて大変だな」という一面もあるかもしれませんが、「この会社は内定者にも基礎的な教育をしてくれる、学びの機会を提供してもらえる会社だ」と思ってもらうことも大事だと考えています。
もちろん、義務に関してはボリュームが大きくなったり、負担にならないように気をつけています。合宿となると少し拘束される時間はありますが、インプットの課題はe-ラーニングシステムのSmart Boardingで数時間の内容にして、 MOS試験の受験料は会社が全額負担します。
瀬山:私も、きちんと見てもらえていることに安心感を感じていました!
勝家さん:また更に重要だと考えているのは、「一人ひとりに合わせた内定者期間を過ごしてもらうこと」です。幸いにも前向きに入社してくれようとする子が多いので、内定者の皆さんに積極的に内定者活動に取り組んでほしいと思ってしまいます。ただ、学生時代の過ごし方は人それぞれで、全て自由ですので、これからどんな学生生活過ごしたいのかということは、定期的に個人面談で聞くようしています。
個人面談をする中で、「海外に何ヶ月間いきたい」というメンバーには負荷のかかる内定者活動をお願いするのは負担ですし、「研究が付きっきりである」という理系のメンバーはどのくらい研究や卒論を書いて、バイトをしたいのか等、まずは「どんな残りの学生生活を送りたいのか」ということ理解できるようにしています。
瀬山:通年、個別の面談はどのくらいの頻度で実施しているのでしょうか?
勝家さん:夏に1回、冬に1回、入社前に1回の最低3回は行うようにしています。夏・冬の面談は学生生活どうしていきたいかという話しをしますが、 入社前は「入社するうえで不安なこと」を聞いています。人によってはかなり細かい悩みもあるので、個別に聞いて改善できるようにしていくという感じです。
瀬山:他にも不安なことがあれば追加で、面談設定いただいた記憶があります。当時はその面談で不安を払拭できて安心できましたね。
■入社が近づいてきていきなり辞退する「びっくり辞退」は今まで一度もない
瀬山:次に、内定者教育を通じて感じている効果・メリットを教えてください。
勝家さん:感じている効果は大きく3点あります。
①入社が近づいてきていきなり辞退する「びっくり辞退」は今まで一度も経験がない
内定者の辞退ゼロとまでいかないですが、「学生起業しており、FCE入社するか、起業した会社を続けるかでずっと迷っていて、自分の会社を続けることに決めました」みたいなそれまでずっと話し合っており、自分の道に進むみたいなことはありました。「え…辞退なの?」のような突然辞退を知るみたいなことはないので、辞退を完璧ではないですが防止できているのではないでしょうか。
②今年嬉しかったことは、新入社員と中途社員が一緒に入社研修をしていて、中途社員が新卒社員のすでに学んでいる・知っている姿に驚いていた
具体的には、「仕事の仕方でこういう時どうする?」という質問に「○○です」と新卒のメンバーがバシッと答えて、中途社員が「え?何で知っているの・・」と衝撃を受けた姿でした。内定者期間の教育により、入社後の定着と即戦力化につながっていると思います。
③内定者教育を通じて社内の人とのつながりが増え、自分自身のキャリア感や仕事の希望に直接繋がっている
やはり承諾をした時点以降に会社の理解が深まる機会がないと、入社の意欲が上がるということもなかなかないかなと思います。内定者も日々大学やアルバイト、インターンなどで新たな経験を積んでいきますので、その中で平行して入社する就職先との接点をもっていかないとから自発的に「この会社で働く意欲が高まる」みたいなことは起きにくいのではないでしょうか… 。
内定者活動を通して「この会社は○○があるんだ」「△△もやっているんだ」と見えてきて、視野が広がっていきます。そう考えると内定者期間の教育があるか、ないかは大きな違いですよね。
瀬山:確かに、そうですね。内定者活動で関わった社員の方に憧れて、今の部署を希望した同期もいますし、私自身FCEで働くイメージが湧いて入社できたので入社時のギャップも少なかったです。
■トレーニング・動画視聴・マニュアル共有は、ツールで工数削減!
瀬山:今は人事担当が増えましたが以前は採用と並行しながら、勝家さんお1人で内定者教育も担っていたと聞きました。うまく両立して進められる工夫はありますか?
勝家さん:そうですね、効果性が高い教育ができているのは、3つの側面で使っている「SmartBoarding(スマートボーディング)」が大きいと思います。
①双方型トレーニング
私が内定者期間に必ず身に着けてほしい指示受け、ゴールイメージなどのテーマを3つ程度決めて、それぞれ参加する日程は内定者のメンバーに調整してもらいます。調整してもらった日程で、私がまとめて申し込みをして準備は完了です。「SmartBoarding(スマートボーディング)」のアカウントを全員発行しているので、トレーニング当日にZoomに入ってもらい、参加後はノートに学んだことを記入し提出してもらいます。
特に印象的だったのが、参加後の感想の中に「他の会社の社会人と混じってトレーニングできて刺激もらった」であったりとか、「講師がすごい」というFCE社員へのリスペクトなどがあります。私は本当に何もしていないのですが、効果性が高い教育になっていて非常に助かっています。
②オリジナルの学習コース作成
課題として課している部分で、内定者専用の教育コースを作成し、好きな時間に見てもらっています。入社前に身に着けてほしい内容が計数時間の動画になっており、各自インプットしてもらっています。
③ルールやマニュアル共有
内定者がインターンを始める際に、勤怠の注意点やPC設定はどのようにするかなど、必要な情報を1つのコースにまとめています。
今までは毎度毎度していたオリエンテーションの説明が、「このコースを見てね」と伝えるだけでいいので生産性はかなり上がっていると感じます。
▼実際に共有している、社内のルールやマニュアルが共有しているコース
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■内定者自身で「目的」を考えたり、小さなチームで連携しやすい仕組みに
瀬山:なるほど、ありがとうございます。他に工夫していることはありますか?
勝家さん:あります。2点共有できたらと思います。
① ”内定者自身”に内定者期間の「目的」を決めてもらう
内定者という縁で集まって、同じ会社を選んだ仲間ですので「入社までどのような期間を過ごすか」「どんな気持ちで入社したいか」など、自分たちで目的を決めてもらいます。ただ、会ったばかりの段階で決めるのは難しいので、今年は合宿が終わった後(10月頃)に考える予定です。
② 内定者を2~3人の小さなチームで組む「トリプレッツ制度」
課題やってくださいねと伝えても、やる人もいればなかなかやらない人もいます。すると、進んでいる人と置いてきぼりの人が出てきてしまい、私が時間を割いて指導する必要が出てきます。そこで「トリプレッツ制度」を導入して、「影響の輪」を自分だけでなく、隣のあと1人にだけ伸ばしてくださいねと、個人ではなくチームで連携してもらうよう促します。
その結果、全員には難しいけれど同じチームメンバーには聞けたり、話せたりして解決できることがあるので、小さなグループを作って活動してもらっています。
瀬山:懐かしいです…!
勝家さん:とはいえ、毎年「これはうまくいくかも・・!」と思ってうまくいかないこともあります。内定者教育は毎年人数ももちろんメンバーも異なるので、難しいなと感じながら、日々工夫をし続けています!
瀬山:内定者教育について、リアルなお話ありがとうございました!
この記事を書いたコンサルタント
株式会社FCE
(編集部)
株式会社FCE 人材育成コラム編集部です。 人材開発/研修を検討中の方、組織力の向上を目指し情報収集をしている方向けに有益なコンテンツを発信していけるようサイト運営をしております。
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